3 対象コメントが権利を侵害する内容かの確認
開示請求を行うためには、投稿者の人格権などの権利を侵害していることが必要になります。
ここで、当て字でコメントが投稿された場合(例えば、「氏ね」というコメントがされ、直接的に「死ね」というコメントがされていない場合)には、名誉感情の侵害などの権利が侵害されたといえるかが問題になります。
過去の裁判例においては、「氏ね」という記載が、当て字を用いた表現により「死ね」と記載するものとして名誉感情侵害を認めています(東京地判令和元年9月17日)。
そのため、たとえ当て字で誹謗中傷コメントがされた場合であっても、一般的な感覚から、誹謗中傷する内容であると捉えられる場合には、人格権侵害などの権利侵害が認められると考えられます。
4 対象コメントの日時を確認
YouTubeのコメントは、他のインターネット掲示板のように投稿日時が記載されておらず、「●時間前」や「●日前」と表記されます。
開示請求を行うためには、対象コメントが投稿された日時が必要になりますが、それ以上の日時の特定ができないため、スクリーンショットを撮影した日時から逆算し、投稿日時を特定します。
5 発信者情報開示命令の申立て
YouTubeのコメント投稿者を特定する場合、発信者情報開示命令申立の相手方は、GoogleLLCになります。
GoogleLLCは外国会社の登記をしていることから、日本の会社に対する申立てと同じように申立てを行うことができるため、海外送達や翻訳は不要になります。
また、日本における代表者がグーグル・テクノロジー・ジャパン株式会社であるため、同社を送達先として手続きを行います。
YouTubeは、電話番号やメールアドレスなどを入力した上でアカウントを作成するため、開示請求においては、メールアドレスや電話番号の開示と対象コメントの投稿におけるIPアドレスの開示を求めることになります。
YouTubeに投稿された誹謗中傷コメントを開示したいとお考えの場合には、まずはご相談ください。