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これについては、
「永続的な精神的及び肉体的結合を目的としての共同生活を営む真摯な意思を夫婦の一方又は双方が確定的に喪失したか否か、夫婦としての共同生活の実態を欠くようになり、その回復の見込みが全くない状態となったか否か」(東京地判平成31年1月29日)との判断や、
「単に夫婦が別居しているというだけでは足りず、両者の婚姻関係が修復不可能な程度に悪化し、その結果別居という状況が生じていることが必要」(東京地判平成31年3月27日)と判断されているように、
単に別居しているというような事情では足りず、夫婦として婚姻共同生活を維持することが非常に困難な状況にあり、離婚しているのと同等の夫婦関係にある状態にあることが必要になるものと考えられます。
▷裁判実務上、婚姻関係の破綻の有無について、どのような事情を考慮しているのでしょうか?
婚姻関係が破綻していると判断した事案と、破綻していないと判断した事案をみてみます。
【婚姻関係が破綻していると判断した事例】
①東京地判令和元年6月28日
・夫婦が約5年間互いに不倫していたこと
・夫が単身赴任を理由に妻に住所を伝えず生活していたこと
・単身に赴任終了後も外泊を繰り返し、別居状態と同様の状況が続いていたこと
・夫の不貞行為を妻が把握したが、双方が確認や協議を行わず、不貞行為をやめるように求めることがなかったっこと
・夫が妻の不貞行為の責任追及を行ったのが妻との離婚調停が不成立(離婚について同意)になった頃であったこと
という事実から、婚姻関係が破綻していたと判断しました。
②東京地判令和元年8月23日
・約2年間別居し、同居をしていないこと
・別居する前に妻が転居先から子供が通う幼稚園を確保していること
・別居に至るまでに夫婦間の葛藤が存在したこと
・妻が別居した日から17日後に夫に対して離婚を求める夫婦関係調整調停の申立てをしていること
・当該調停が不成立で終了した後、夫婦間で子供の面会交流以外に夫婦の交流はなく、夫から同居回復に向けた有効な退所もされていないこと
という事実から、妻が離婚を求めて調停を申し立てた時点で、婚姻関係が破綻していたと判断しました。
【婚姻関係が破綻していないと判断した事案】
③東京地判平成31年2月26日
・妻が不倫する前に一時期別居し、夫から離婚を想起させる発言をしていたが、夫婦間で離婚に向けた具体的な行動をしていたと認められないこと
・夫が弁護士を通じて離婚を求める内容証明郵便を出すまで、夫婦間で離婚に向けた具体的な行動がなされていないこと
・夫婦と子供とで旅行をしていること
という事実から、婚姻関係は破綻していないと判断しました。
④名古屋地判令和元年11月25日
・不貞行為以前に、夫婦が10年以上別居していたが、定期的に食材を届けるなどの交流があったこと
・夫婦間で離婚の話合いが進められていなかったこと
という事実から、婚姻関係は破綻していないと判断しました。
このように、夫婦が別居しているという事実だけでなく、夫婦関係に関する事実を考慮して、婚姻関係の破綻の有無を判断していることが分かります。
具体的には、離婚の話合いをしていたか否か、別居している場合には同居に向けた言動を行っていたか否かという点が考慮されていますが、その他の事情も考慮される場合があります。
もっとも、裁判所は、婚姻関係が破綻していたか否かについては厳格に判断しており、婚姻関係破綻の主張が容易に認められない傾向にあるため、ご不安がある場合にはご相談ください。
不貞慰謝料請求を行うためには、配偶者に婚姻関係があること、夫婦間の婚姻関係が破綻していないことを、不倫相手が知っていた又は知ることができた(故意又は過失)という要件が必要になります。
なお、婚姻関係の存在、婚姻関係が破綻していないことに加えて、加害意思が必要か否かについては、裁判所は不要と判断しています。(東京地判令和2年9月3日において、「通常の不法行為責任を問う場合の故意又は過失を超えて、がいいが必要であるとは言え」ないと判断されました。)
▷ では、どのような場合に、故意又は過失が否定されるのでしょうか?
まず、一般論として、不倫相手となる一方の配偶者から、「夫(妻)と離婚しようと思っている。」、「夫(妻)とすぐに離婚して、結婚することを考えている。」という発言を受けたのみでは、故意又は過失が否定されないと判断される傾向にあります。
というのも、
「不貞行為を働こうとする一方配偶者が好意を寄せている人との交際を開始し、又は交際を継続したいとするときは、往々にして相手の気を惹こうとし、あるいは、相手の気持ちが離れていかないような言動に及びがちであり、・・・主観的には他方配偶者との婚姻関係が破綻していると思い、その旨を話したとしても、客観的には婚姻関係が破綻しているとまで評価することができないような場合もままある」ためであると考えられているからです(東京地判平成31年1月31日)。
そのため、一方配偶者から婚姻関係が既に破綻しているという話を聞かされた場合であっても、婚姻関係の破綻を基礎づける事実の存在を認識していたといった特段の事情がない限り、故意又は過失は否定されません。
▷では、裁判実務上、どのような場合に故意又は過失が否定されるのでしょうか?
【配偶者の存在について故意又は過失を否定した裁判例】
①東京地判令和元年6月28日
・不倫相手が、友人とクラブに遊びに来ていた不倫相手となる一方配偶者と初めて会ったこと
・一方配偶者が不倫相手に対して既婚者であることをあえて告げず、結婚指輪もつけていなかったこと
・不倫相手が一方配偶者に婚姻関係を確認しても、既婚者であることを意図的に隠していた配偶者が真実を述べたとは考えにくいこと
・不倫相手において、一方配偶者が既婚者であることを容易に知り得る手段がなかったこと
という事実から、一方配偶者が独身であると信じたことについて、過失があるとまでいえないと判断しました。
②東京地判平成28年2月17日
・不倫相手が、飲み会で知り合った一方配偶者から誘われる形で交際することになり、配偶者がいるのか否か気になりにくい立場にあったこと
・交際中に一方配偶者と共に大勢の男女が集まる飲み会に度々参加していたこと
・一方配偶者が元ホストであることを知っており、生活が落ち着いていないと認識していたこと
という事実から、既婚者でないと信じたことについて過失があったとまで認め難いと判断しました。
このように、配偶者がいないと聞かされてた場合に、一方配偶者との交際中の状況や態度も故意又は過失の判断で考慮されているものと考えられます。
不貞慰謝料請求を考えている場合に、問題なく請求することができるのか、また慰謝料を請求されているが婚姻関係があることを知らなかったことを主張したいが、認められるのか、といった点でお悩みの場合には、ご相談ください。
裁判例の判断の傾向等を踏まえてアドバイスいたします。
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