〒104-0033 東京都中央区新川1丁目7-1 天翔日本橋茅場町ビル407

受付時間
10:00~19:00
※土曜・日曜・祝日を除く
アクセス
東京メトロ東西線 茅場町駅 3番出口から徒歩4分
東京メトロ日比谷線 八丁堀駅 A4出口から徒歩7分
JR京葉線 八丁堀駅 A4出口から徒歩7分
駐車場:近くにパーキングあり

お気軽にお問合せ・ご相談ください

03-6555-7670
LINEでの相談はこちら
友だち追加

Q1.労働基準法上の「管理監督者」とは、どのような労働者を指すの?

【結論】

 対象の労働者が、労度条件その他労務管理について経営者と一体的な立場にあると認められる場合には、労働基準法の「管理監督者」に当たると考えられます。

▷ そもそも管理監督者に該当することで、どのような法律効果が生じるのか?

 管理監督者に該当する場合、労働基準法(以下「労基法」といいます。)第4章、第6章及び第6章の2に定められている、労働時間、休憩及び休日に関する規定の適用が除外されます(労基法41条柱書、同条2号)。

 つまり、割増賃金を請求された場合に、時間外手当及び休日手当の請求に対して、請求を拒否する理由となります

 もっとも、労働時間と区別される深夜労働の割増賃金についての規定は適用されるため、注意が必要です。

▷ では、労基法上の「管理監督者」に該当するためには、どのような要素が必要になるのでしょうか?

 裁判例の多くは、基本的に行政解釈と同様に判断しており、労度条件その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者と解釈していると考えられます。

具体的には、
事業主の経営上の決定に参画し、労務管理上の決定権限を有していること(経営者との一体性)、
自己の労働時間についての裁量を有していること(労働時間の裁量)、
管理監督者にふさわしい賃金等の待遇を得ていること(賃金等の待遇

という要素を満たす者を労基法上の管理監督者と認めていると考えられます。 

 まず、①経営者との一体性が求められていますが、会社の経営等について関与する必要があるのか、具体的にどのような事情が考慮されているのでしょうか?
 対象の労働者に①経営者との一体性が認められるための事情として、主に次の3点を考慮しています。

 (ア)経営への参画状況
 (イ)労務管理上の指揮監督権
 (ウ)実際の職内容
 

 それぞれどのような点を重視しているのでしょうか。

(ア)経営への参画状況について
 
会社の経営会議等の事業経営に関する決定過程に関与し、どの程度の発言力・影響力を有していたかが重視されています。
 
経営会議等に出席・関与していても、実際には当該企業のトップ等のごく限られた者の一存で経営方針が決められ、当該労働者が経営方針の決定にほとんど影響力を有していない場合には、管理監督者性が否定されやすい傾向にあります

(イ)労務管理上の指揮監督権
 
部下に関する採用、解雇、人事考課等の人事権限や、部下らの勤務割等の決定権限等の有無・内容等が重要視されており、単に採用面接を担当しただけ、人事上の意見を述べる機会が与えられるだけという場合には、管理監督者性が否定される傾向にあります。

 もっとも、最終的な人事権までないものの、その意向が反映されたことなどを理由に管理監督者性を肯定した事案もあるため(東京地判平成19・3・22労判938号85頁)、必要不可欠な要素ではないものと考えられます。

(ウ)実際の職務内容
 対象
労働者の実際の職務内容が、管理監督者としてのマネージャー業務だけでなく、その部下と同様の現場作業・業務にも相当程度従事するものである場合には、管理監督者性を否定する要素とされやすい傾向にあります。

 次に、②労働時間の裁量を判断する際に、管理監督者とされる労働者がタイムカードの打刻を義務付けられている場合、労働時間の裁量がないと判断されるのでしょうか?

 管理監督者は、労働時間の管理、監督権限の帰結として、自らの労働時間を自らの裁量で決定することができるため、労働時間に関する裁量の有無・程度も、判断の重要な指標となります。

 そのため、対象労働者の始業時間がどの程度厳格に取り決められ、管理されていたかが中心として判断されます。
 
特に、タイムカード等による出退勤の管理がされていたか、遅刻、早退、欠勤等の場合に賃金が控除されていたかが重視されています。

 なお、タイムカードの打刻が義務付けられている場合であっても、出退勤の有無事態を確認する、健康管理等の目的であれば、勤務時間の裁量が否定されるべきではないものと考えられており、タイムカードを打刻しているという事情のみをもって労働時間の裁量がないと判断される可能性は高くないものと考えられます。

 最後に、③対象労働者の賃金の待遇はどのような観点から判断されるのでしょうか?

 そもそも、時間外手当の対象にならないことから、労働時間の枠組みに縛られない業務遂行が求められていても、保護に欠けることがないといえるような待遇面での手当てがなされている必要があります。

 ここから、賃金の待遇に関する判断においては、定期的に支給される基本給、その他の手当において、対象労働者の地位にふさわしい待遇を受けているかどうか、賞与等の一時金の支給率やその算定基礎において、一般労働者に比べて優遇されているかなどに着目しているものと考えられます。

 管理監督者でない一般労働者との間に有意な待遇差が設けられていれば、管理監督者性を肯定する一事情として考慮すべき事情として判断される傾向にあります。

 もっとも、一般労働者との間で有意な差が認められなかったり、時間外手当を考慮するとかえって賃金が下がっているなどの事情があれば、管理監督者性が否定される方向になります。

 なお、そもそも経営者との一体性や労働時間の裁量性といった他の要素において、管理監督者としての実態が認められないと判断された場合、待遇が高いことのみで管理監督者性が肯定されることはないため、①経営者との一体性、②労働時間の裁量が認められることが前提になります。

 このように、労基法上の「管理監督者」に該当するためには、労働法上の専門的な知識に加えて、実務上の知見も必要になります。

 現在の社内における「管理監督者」の運用に疑問やご不安がある場合には、専門的な知見からアドバイス・サポートいたしますので、お気軽にご相談ください。

お気軽にお問合せ・ご相談ください

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
03-6555-7670
お電話受付時間
10:00~19:00
定休日
土曜・日曜・祝日
LINEのでご相談は24時間受け付けております

お気軽にお問合せください

お電話でのお問合せ・相談予約

03-6555-7670

<受付時間>
10:00~19:00
※土曜・日曜・祝日は除く

LINEで相談する

フォーム・LINEでのご相談は24時間受付中です。
お気軽にご連絡ください。

新着情報・お知らせ

2025年2月27日
法律コラムの記事を追加しました
2025年2月26日
法律コラムの記事を追加しました
2025年2月19日
法律コラムの記事を追加しました

ソレアード法律事務所

住所

〒104-0033 東京都中央区新川1丁目7-1 天翔日本橋茅場町ビル407

アクセス

東京メトロ東西線 茅場町駅 3番出口から徒歩4分
東京メトロ日比谷線 八丁堀駅 A4出口から徒歩7分
JR京葉線 八丁堀駅 A4出口から徒歩7分
駐車場:近くにパーキングあり

受付時間

10:00~19:00

定休日

土曜・日曜・祝日