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13.休職期間満了日の労働者からの復職申出を、会社が拒否して退職扱いとしたことが違法無効と判断された事案(大阪地判令和6年5月21日令和3年(ワ)第4140号

【判断の要旨】
 休職期間満了日に労働者Xの身体症状及び精神症状について就労可能な程度まで治癒していたと認められるため、会社Yが労働者Xを退職扱いとしたことは無効と判断した。
(争点)
 ①休職期間満了時において就労可能な程度に傷病が治癒していたか否か

 

【事案の概要】
 労働者Xは、平成21年6月1日、会社Yとの間で期間の定めのない労働契約を締結した。

・休職命令等
 会社Yは、平成31年2月7日、労働者Xに対し、身体症状及び精神症状を理由に就業規則に基づき、休職期間の満期を2年として休職を命じた。
・復職申出
 医師は、令和元年9月25日付けで、労働者Xを適応障害とし、薬物療法で症状は改善したとする診断書を発行した。
 そこで、労働者Xは、令和元年10月24日、会社Yに対し、復職を申し出た。

 これに対し、会社Yは、令和2年2月13日に、労働者Xに対して復職の判断のためにB社が実施するリワークプログラム(リワーク①)の受講を求め、労働者Xがリワークプログラムを受けたが、3回欠席したことを理由に、4月24日に中止となった。
 その後、労働者Xは、令和2年6月16日から、Cが実施するリワークプログラム(リワーク②)を受けた

・退職扱い
 会社Yは、就業規則35条3号に基づき、令和3年2月6日の経過をもって、労働者Xを休職期間満了による退職扱い(以下「本件退職扱い」という。)とした。
 (
なお、労働者が復職するか否かについては、会社Yの復職に関する規定において、産業医の意見書の内容を踏まえて判断する旨の規定が定められている。)

【裁判所の判断】
 労働者Xが、遅くとも休職期間満了時において、会社Yにおいて就労可能な程度に傷病が治癒していたかについて次のとおり判断しました。

1 労働者Xの身体症状の治癒の有無及びその時期について

(1)労働者Xが復職申出をした令和元年10月24日時点では、リワーク①の受講時に憩室炎が発症し、療養による自宅安静のためリワーク①を欠席したこと等からリワーク①が中止され、労働者Xも、再リワークを受けるため身体面の回復が必要と受け止めていたため、労働者Xの身体症状が就労可能な程度に治癒していたとはいえない。

(2)〔1〕令和2年6月29日に医師が同年4月24日以降憩室炎は寛解したと診断していること、

〔2〕リワーク②につき労働者Xは同年6月16日から同年10月29日まで体調不良により欠席していないこと、

〔3〕同年11月24日に医師も労働者XはIgA血管炎、慢性胃炎、高尿酸血症の状態にあるが、寛解し、就労可能である旨診断していること、

〔4〕労働者Xは令和3年1月23日に上行結腸憩室炎を発症し、同年2月4日までに治癒したこと、

〔5〕同日以降、労働者Xが憩室炎やIgA血管炎等の身体症状を発症していないこと、

〔6〕憩室炎の一般的知見によれば、憩室炎は軽症のうちに適切な治療をすれば比較的早期に治癒する疾患であるところ、労働者Xのこれまでの憩室炎の治療経緯に照らすと、労働者Xが強い腹痛を訴えた場合速やかに医療機関を受診し、必要な検査を受けるなどして、憩室炎が再発したとしても、軽症のうちに必要な治療を迅速に受けることが合理的に見込まれること、

〔7〕労働者Xは令和3年5月24日以降、心身の故障により欠勤をしていないことに照らすと、労働者Xは、遅くとも休職期間満了日である令和3年2月6日までに、身体症状は治癒していたと認められる。
 

2 労働者Xの精神症状の治癒の有無及びその時期について

(1)労働者Xは、適応障害が休職事由に該当しないと主張したが、平成30年7月10日の病院における心理検査の結果、労働者Xは中等度の抑うつ症状を呈しており、休職命令が発令された平成31年2月6日までに、症状が軽快し、就労可能な状態にまで回復していたと認められない。

(2)医師は、令和元年5月9日付けで職場環境の調整の上であれば復職可能である旨の診断書、令和2年11月25日付けで異動後の職場環境の調整の上であれば復職判定基準を満たす状態に改善しており復職可能である旨の診断書を発行している。

 また、リワーク②開始時、労働者Xはうつ状態にはなく、労働者Xの精神症状について、復職をさせるのに特段の問題があったことをうかがわせるものはない。

 そして、病院の初診時に不眠への対応として処方されたレスリン(うつ病・うつ状態治療剤)は、同年10月21日に中止されるに至り、その後、労働者Xの症状が悪化したともうかがえない。

 さらに、労働者Xは令和3年5月24日以降の就労先で心身の故障により欠勤をしていないことをも踏まえると、上記各診断書による医学的意見が不合理であるとは認められず、その信用性に欠けるところはないといえる。

 リワーク②において3回実施された評価シートの平均点は、Cで用いられている復職申請に進むことができる基準を上回っている。

 また、労働者Xは、リワーク②を平日はほぼ毎日出席しており、Cのカルテ等で精神状態が就労に耐えられない状況にあることをうかがわせる具体的な記載は見当たらない

 以上から、労働者Xは、遅くとも、令和2年11月25日の時点で、その精神症状は治癒していたものと認めるのが相当である

  (その上で、会社Yが定める復職判定基準への該当性を検討し、復職可能要件を充足すると判断しました。
 
特に、復職後に労働者が行うことが可能な労務提供の内容について次のとおり判断しました。)

 「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」が、数か月にわたって休業していた労働者に、いきなり発病前と同じ質、量の仕事を期待することには無理があり、職場復帰後の労働負荷を軽減し、段階的に元へ戻すなどの配慮が必要となると指摘しているところを踏まえると、そのような配慮などのプロセスを経れば、最終的に従来と同様の担当業務を行う見込みがあれば足りるものと解するのが相当である。

 労働者Xの復職において、身体症状だけではなく精神症状についても就労可能な程度まで治癒していることが必要である旨の会社Yの主張を前提としても、労働者Xの各症状は、遅くとも令和3年2月6日までに就労可能な程度まで治癒していたと認められる。

 として、会社Yが復職申出を拒否し、退職扱いとしたことを無効と判断しました。

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