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Q4.労働者に対して有効に出向命令を行うには
どのような対応が必要でしょうか?

【結論】

 出向命令が有効と判断されるには、
 ①労働契約上の出向命令権の根拠があること、

 ②法令違反でないこと、
 ③権利濫用に当たらないこと
 の要件を満たす必要があります。

【解説】

 そもそも、出向とは、労働者の雇用先の企業(出向元)における従業員の地位を維持したままで、他の企業(出向先)において相当期間にわたって出向先の業務に従事することをいいます。

 出向は、労働者の労働契約関係(労務提供の相手方)が変わる点から、配置転換とは異なる制度となります。

 では、出向が有効となるために必要となるそれぞれの要件を満たすには、具体的にどのような対応を行う必要があるか解説します。

①労働契約上の出向命令権の根拠について

 出向は、労働契約関係(労務提供の相手方)が変わるため「労働者の承諾」が必要になります(民法625条1項)。

 そのため、労働者の個別的同意がある場合には、使用者(会社)は、使用者は出向を命じることができます。

▷では、労働者の個別同意がないと、出向を命じることはできないのでしょうか?

 過去の判例では、「労働者の承諾」について、出向命令に対する個別的な同意までは必要としていない(新日本製鐵事件:最判平成15年4月18日)と判断しています。

 もっとも、裁判実務上、就業規則や労働協約における出向命令権に関する包括的規定や採用時の包括的な同意があれば、問題ないと判断しているわけではないため、注意が必要です。

 上記判例も、労働者の個別的同意に代わる根拠として、就業規則上の出向条項に加えて、出向中の社員の地位、賃金、退職金、各種の出向手当、昇格・昇給等の査定その他処遇等に関して出向労働者の利益に配慮した労働協約に触れた上で、出向命令の有効性を肯定しています。

 また、下級審裁判例においても、出向命令を有効になし得るには、当該出向の対象労働者との間で個別の合意が成立しているか、就業規則またはその附則において、出向先の労働条件・処遇、出向期間、復帰条件(復帰後の処遇や労働条件の通算等)に関する規定が整備され、その内容も労働者に著しい不利益を被らせるものでないことを要するとしています(日本レストランシステム事件:大阪高判平成17年1月25日)。

 以上の裁判実務上の考え方を踏まえると、就業規則の規定に「当社は、従業員に対し、出向を命じることがある。」といった包括的な規定に加えて、出向期間など出向中の労働者の処遇について具体的に定めておくことが有用と考えられます。

②法令違反でないことについて

 出向命令権がある場合であっても、強行法規に違反する出向命令は無効と判断されます。具体的な強行法規は、次のとおりです。

労働組合法7条1号:出向が組合活動の妨害を目的とする不当労働行為に当たる場合

労働基準法3条:出向が思想信条による差別に当たる場合

雇用機会均等法6条:出向が性別による差別に当たる場合

雇用機会均等法9条3項:婚姻、妊娠、出産、労働基準法65条1項の産前産後休業を請求取得したこと等を理由とする場合

育児介護休業法10条・16条:育児・介護休業の申出をしたこと等を理由とする場合

公益通報者保護法5条:公益通報をしたことを理由とする場合

などが挙げられます。

③権利濫用に当たらないことについて

 労働契約上、出向命令権が認められる場合であっても、出向命令が権利濫用に当たる場合には、出向命令は無効になります。

 労働契約法14条にも、「出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。」と規定されています。

 また、出向は、労働契約関係(労務提供の相手方)が変更されることから、配置転換よりも不利益性が大きいと考えられているため、配置転換よりも厳格に判断される傾向にあります。

 出向命令が権利の濫用に当たるか否かの判断は、
①業務上の必要性、②人選の合理性、③労働者の生活関係、労働条件等における不利益の程度、④手続の相当性を順次検討した上で行われているものと考えられます(上記新日本製鐵事件)。

 出向命令が権利濫用と判断された例として、次の事案があります。

 ③労働者の生活関係において著しい不利益を与えると考慮された事案として、寝たきりの両親と同居して一人で両親の面倒を見ていた労働者を遠隔地に出向させる命令を行ったことについて、労働者の家庭の事情を考慮すると酷に失すると言わざるを得ず、人選基準の一つである家庭の事情を考慮するという方針にも矛盾するとして権利濫用に当たると判断しました(日本ステンレス事件:新潟地裁高田支部判昭和61年10月31日)。

 そのほか、労働者が会社からの退職勧奨に応じなかったところ、子会社への出向を命じた事案においては、「出向命令は退職勧奨を断った原告(労働者)らが翻意し、自主退職に踏み切ることを期待して行われたもの」として、②人選の合理性を否定し、人事権の濫用と判断した事案があります(リコー子会社出向事件:東京地判平成25年11月25日)。

 以上の裁判実務上の考え方を踏まえると、会社としては、出向を命令を発する際に、出向を行う業務上の必要性を対象の労働者に説明することや、出向により労働者の生活環境がどのように変化するかという点をヒアリングした上で、出向命令を発令することが望ましいと考えられます。

 労働者に対して有効に出向命令を発することができる規定になっているか、出向命令を発したいが労働者に対していかなる不利益が生じるかといったお悩みがありましたら、ご相談ください。

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