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【結論】
まず、パワハラ行為等を行った上司等に対して、慰謝料や精神疾患等が生じたことにより要した治療費等を請求することが可能になります。
そして、場合によっては、会社に対しても、使用者責任や債務不履行責任などを追及することが可能になります。
【解説】
パワハラ行為とは、優越的な地位にある者から、労働者の人格権、名誉権・プライバシー権、生命身体の安全、行動の自由などの権利を侵害する行為であることが多いと考えられます。
そのため、パワハラ行為を行った者は、労働者の権利を侵害したものとして、不法行為に基づく損害賠償責任を負うことになります。
それに加え、使用者は、労働者が労働するにあたり、その生命身体等の安全を確保するように配慮する義務(職場環境配慮義務)を負っていることから、パワハラ行為が行われた場合には、職場環境配慮義務を怠ったとして責任を負う場合があります。
また、パワハラ行為が「事業の執行について」行われた場合には、使用者は、使用者責任(民法715条)を負うこともあります。
そこで、①パワハラの行為者に対する請求、②使用者(会社)に対する請求はどのような場合に認められるのか、認められた場合に請求できる費目について解説します。
パワハラを行った加害者本人に対しては、被害者の人格権(名誉権、プライバシー権、性的自由)や良好な職場で働く利益の侵害、身体(健康)・生命の侵害を理由に、不法行為責任に基づき慰謝料、治療費、逸失利益等の損害賠償請求を行うのが一般的です。
もっとも、パワハラ行為が行われたことだけでなく、対象の行為に違法性があることが必要になると考えられています。
過去の裁判例においては、「いわゆるパワーハラスメントといわれるものが不法行為を構成するためには、質的にも量的にも一定の違法性を具備していることが必要である。したがって、パワーハラスメントをした者とされた者の人間関係、当該行為の動機・目的、時間・場所、態様等を考慮の上、『企業組織もしくは職務上の指揮命令関係にある上司等が、職務を遂行する過程において、部下に対して、職務上の地位・権限を逸脱・濫用し、社会通念に照らし客観的な見地からみて、通常人が許容し得る範囲を著しく超えるような有形・無形の圧力を加える行為』をしたと評価される場合に限り、被害者の人格権を侵害するものとして民法709条の不法行為を構成する」と判断しています(東京地判平成24年3月9日)。
▷ では、どのような場合に違法性が認められるのでしょうか?行為類型ごとにみていきます。
(1)指導・叱責
指導・叱責のケースでは、加害者(上司等)に私的な怨みや怒りがない場合には、違法性が争われるところです。
・上司が、作成資料の不備や業務上のミスが多い部下に対して指導注意を繰り返すなかで、「新入社員以下だ。もう任せられない」「何で分からない。お前は馬鹿」などの発言をしたことにつき、注意又は指導のための言動として許容される限度を超え、相当性を欠き不法行為に当たると判断した事案(東京地判平成26年7月31日)
・先輩社員が労働者に対し、「てめえ。」「あんた、同じミスばかりして」「親に出てきてもらうくらいなら、社会人としての自覚を持って自分自身もミスのないようにしっかりしてほしい。」などと厳しい口調で失跡好意を繰り返したことにつき、業務上の適正な指導の範囲を超えるもので不法行為に当たると判断した事案(名古屋高判平成29年11月30日)
(2)いじめ・暴力
いじめ・暴力の場合には、違法性が明確であることが多いため、主に、精神疾患や自殺等との因果関係の有無、過失相殺・素因減額等が問題になる場合が多いと考えられます。
(3)人事上の措置(降格、隔離・見せしめ、追い出し部屋など)
人事上の措置における嫌がらせ行為が問題となる場合には、違法性が争われることが多く、違法性が認められた場合には、使用者の行為として使用者の不法行為責任が認められる場合もあります。
・上司が労働者に教育訓練と称して就業規則前文の書き写し、その感想文の提出、就業規則の読み上げを命じたことが見せしめを兼ねた懲罰的目的からなされたものであるとして使用者責任を認めた事案(仙台高秋田支判平成4年12月25日)
(4)個の侵害(私的領域への過度の立ち入り)
個の侵害については、労働者の性的自由に対する上司等からの干渉行為が問題となることが多いと思われます。
・エリアマネージャーが、飲食店の店長である労働者がアルバイト社員と交際していることを咎め、携帯電話を変える際に新しい携帯電話番号をアルバイト社員に教えないほうがいいと伝え、これに従わなかったことに対して暴行を加えた事案(東京地判平成26年11月4日)
会社の従業員から「事業の執行について」パワハラが行われた場合、その加害者個人への責任追及とは別に、使用者に対して使用者責任(民法715条)を追及することができます。
また、パワハラ行為が会社(使用者)自身の行為と評価できる場合には、対象の行為について使用者固有の不法行為責任(民法709条)を追及することができます。
具体的には、降格やいわゆる追い出し部屋への配置転換などの人事上の措置が挙げられます。
さらに、会社(使用者)には、労働契約上の付随義務として安全配慮義務が認められていることから、パワハラ行為により労働者が生命死体等の安全を確保しつつ労働することができるように必要な配慮を怠ったとして、債務不履行責任(民法415条)を追及することが挙げられます。
なお、使用者に対する不法行為責任・使用者責任追及においては、加害行為の違法性やパワハラ行為と労働者の精神疾患等との間に相当因果関係があるかという点、
安全配慮義務違反の場合は、使用者の過失の有無、予見可能性・結果回避可能性があるかという点が争われることが多く、直ちに認められるわけではないという点に注意が必要です。
上司や先輩従業員などからパワハラ行為を受け、行為者や会社に対して請求をしたいとお悩みの場合には、ご相談ください。
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