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【結論】
会社から解雇を伝えられた場合であっても、解雇(退職)を承諾したと思われるような行動をとらずに、解雇理由証明書の交付を求めるなどの対応を行うことが必要になります。
解雇は、労働契約に当然付随する権利と理解されているため、(普通)解雇をするに当たり、就業規則などに定めが必要というわけではありません。
もっとも、会社が常に有効に労働者を解雇できるわけではなく、法律によって有効に解雇ができる場合が限定されています。
具体的には、業務上の負傷や疾病による休業期間・産前産後の休業期間及びその後30日間の解雇禁止、解雇権濫用法理が挙げられますが、今回は解雇権濫用法理について解説します。
▷解雇権濫用法理とは?
労働契約法16条は、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定めています。
ここから、会社による解雇が①「客観的合理性」及び②「社会的相当性」を有しない場合には、解雇は無効になります。
裁判実務上、①客観的合理性の判断は、解雇事由の存在・重大性、労働者の改善見込みの程度、解雇回避措置の有無などが検討され、
②社会的相当性の判断は、①客観的合理性があることを前提に、使用者による不法な動機・目的の有無、労働者の情状、他の労働者との取扱いの均衡、使用者の対応・落ち度、手続の不履践などが検討されます。
なお、裁判例においては、これらの要件の判断を別々に行わずに、一体的に行うものもあるため、必ずしも厳格に区別して判断されるわけではないようです。
では、どのような場合に解雇が有効・無効となるか、裁判例をいくつか紹介します。
(ア)過去2回の懲戒処分を受け、その他にもセクハラに該当する非違行為等が認められた従業員につき、就業規則上の普通解雇事由への該当性を認めたものの、会社との信頼関係が破壊されたことを理由として解雇を相当とするだけの客観的な事情までは認められないとして、普通解雇を無効と判断した事案(東京地判令和2年9月16日)
(イ)適性に合った職種への転換や業務内容に見合った地位への降格、一定期間内に業績改善がみられなかった場合の解雇の可能性をより具体的に伝えた上でのさらなる業績改善の機会の付与などの手段を講じることなく行われた業績不良を理由とする労働者の解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められないとして解雇を無効と判断した事案(東京地判平成28年3月28日)
(ウ)記帳・経理業務を専門とするコンサルタントとして雇用されたが、期限を守らない、会計処理を誤る、顧客からの問い合わせに適切に回答しないといった職務懈怠があり、その都度注意しても改善が認められなかった場合の解雇を有効と判断した事案(東京地判平成26年1月30日)
このように、裁判例では、労働者の業務上のミスや、職務を懈怠したことなどについて、会社からの指導・注意が行われたにもかかわらず、改善されなかったかどうかを解雇の有効性を判断する上での、考慮要素の一つとして考えているものとうかがわれます。
そして、労働者の立場としては、会社からの解雇に、①客観的合理性、②社会的相当性がないと考える場合には、解雇の有効性を争うことになります。
ここで、解雇を争う際に、労働者が注意すること、取ってはいけない対応について解説します。
2 労働者が取ってはいけない対応とは
解雇(退職)の承認と捉えられるような行為をしないことが必要です。
解雇を争うにもかかわらず、これと矛盾する行為を行った場合には、解雇を争う意思がないと判断される可能性があります。
例えば、退職届を記載するように求められ、退職届に記載をしてしまうこと、また退職金を受領することや、解雇予告手当を請求することが挙げられます。
過去の裁判例においても、退職金を受領したことが解雇の承認と判断した事案(東京地判昭和62年4月17日)、解雇予告手当を請求したことが解雇の承認と判断した事案(東京高判昭和41年10月27日)があります。
このような行為を行っても、直ちに解雇(退職)を承認したと判断されない場合もありますが、一般的には、解雇(退職)を承認したと判断される可能性が高い行為になります。
仮に、会社から退職金や解雇予告手当が振り込まれた場合であっても、内容証明郵便などで返却する旨の意思を伝えることが必要です。
▷ では、労働者が取っても良い対応は何がある?
例えば、会社に対して離職票を請求すること、会社の求めに応じて会社の物品を返還することは問題ないと考えられています。
失業保険は、解雇を争っている状態であっても、仮払いにて受給することができるため、失業保険の受給のために離職票を請求することは、解雇を争うことと矛盾しないと考えられます。
また、会社の物品の所有権は、会社にあることから、会社の求めに応じて物品を返還することは、解雇を争うことと矛盾しません。
会社から解雇を言い渡された場合、自身で対応することで、後々解雇を争うことができなくなってしまうおそれがあるため、まずは弁護士にご相談ください。
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